2024/11/24

現在、56ページ中、原文チェックが38ページまで進んだ。これは時間がかかる。chat gptの翻訳力が高く、しかもよくわからない文法事項を質問すると、ちゃんと引っかかりやすそうなところに言及して解説してくれる。DeepLの役目も終わりか。

卒論の時はラカンの『エクリ』に入っている「文字の審級」論文を読解するという内容だった。既存の翻訳は使いにくいので、段落に全部番号を振り(たしか198段落あった)、秋くらいから地道に一つずつ訳していった。その時はまだDeepLを使っていたと思う。

訳し直しを進めることで、新宮一成による「ローマ講演」の新訳も結構解釈が含まれているなとわかってくる。もともとやや言葉遣いや訳語がそんなにニュートラルな訳でもなかったが、原文と照らし合わせることで理解が進んだこともいくつもあった。まあ、なかなか難しいところ。

東大の倫理学研究室はテクストを精読するということにかなりプライドのある研究室で、いろいろなゼミに参加してきた中でも、「精読」ということに関してはかなりレベルが高いほうだと思う。レベルが高いというか、本当に丁寧。やや幅はあるが、基本的には1回の授業で3ページも進んだら速すぎる方で、普段は2段落くらい。丁寧すぎても枝葉的な事柄にとらわれて議論の流れや本質をつかめなくなるということもあるにはあるが、意外と枝葉的なこと、語の選択の一つ一つをなんでこうなんだろうと考えていくと、理解が深まったりもする。ややゆっくりすぎるかなと肌感で感じるくらいがちょうどいいとは思う。「ちょうどいい」だとやや速い。「速い」は速すぎる。

「違和感」が大事。僕のイメージだと、具体的には思い出せないけど何か忘れ物をしている時の感覚。あるいは空気中の蜃気楼というか、透明な、揺らぎみたいなもの。「ま、いいや」と無視することも容易にできるし、ふっと降りてきたアイデアのようにすぐ忘れてしまうこともある。が、それを掴んで離さないように、テクストの気になったところを考えてみたり、議論に投じてみたりすることで上手くいくことが多い。

ただ熊野さんのゼミで今でも覚えているのは、ゼミでは精読をするが、世の中には読むべき本がたくさんあるので、全てを精読していたら時間がない、と言っていたこと。それは本当にそう。精読する対象とそうでない対象は分けた方が良い。となると精読する本には、人生の時間をそこに費やすべき本を選択しなければならない。

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